Work

PROJECT STORY 05廃棄物を排出する人、収集する人。
世の中全体にもメリットをもたらす
IoTソリューション。

NTT西日本
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BREAK THROUGH
ブレイクスルー

いまある制度の最適化だけで終わらず、
IoT時代にふさわしく、現場の実情に合う
新しい法律や制度づくりにもつなげていく。
実証実験は、その第一歩。

廃棄物量の視える化と、効率的な実需連動型の収集運搬モデル。これまでにないIoTプラットフォームをリアルな姿で提案し、高評価を得て見事に受託したプロジェクト。一方で、想定外の出来事も待っていた。実証実験の直前に収集対象が変更になり、効率化の鍵を握る一括回収ができなくなる可能性が生じた。

望月
公募段階では、廃棄プラスチックなど資源ごみの「有価物」を想定した実証試験でした。大量の産業廃棄物と比べ、少量の有価物なら収集車が複数の排出事業者を回り、合積みで一括回収するのがちょうどいいね、と。それがリサイクル資源市場の暴落で、有価物の需給バランスが崩れてしまい急遽、産業廃棄物に実験対象が変更になった。収集事業者が、集める時にお金を払うのが有価物で、もらうのが産業廃棄物。仕組みは同じなのにその違いが大きくて、産業廃棄物は産業廃棄物処理法を遵守したオペレーションが求められる。
中峯
実証実験をする京都市内では、合積みが有価物はOKでも産業廃棄物はNGだったんですよね。何度も交渉を重ねて、実証実験では何とか認めてもらえることになったけど、一時はどうしようかと。
青野
廃棄物処理法は最初の施行から改正を繰り返しているので、運用面では、いろんな解釈ができるんです。廃棄物処理法には産業廃棄物に対してマニフェストという制度があって、産業廃棄物では排出量と、排出から最終処分場まで適正なプロセスを辿ったことも証明する必要がある。合積みの一括回収は排出量の正確な計量ができないので、運用上認められず効率化ができない、という壁がありました。 今回のプロジェクトは、いまある制度の制約の中ででうまくいくかどうか、だけで終わらないもの。LPWAなどの新技術を活用して合理化を図りつつ、IoT時代にふさわしい法律や制度またその運用方法へ、何をどう変えればいいかも導き出したい、というのが私たちの想い。合積みがOKな自治体もありますし、まずその変化を起こす第一歩を踏み出したということですね。

壁を一つ乗り越えたプロジェクトは、実証実験へと突入していく。LPWAの精度向上や複数種類の測定センサの開発、管理データを表示するポータルサイトの見やすさの改善など、効率化と最適化にさらに磨きをかけ続けている。

中峯
測定センサの設置も、想定外のことがありましたよね。超音波を拾う範囲が広く、廃棄物カートの中は空っぽなのに壁に当たって「100%」と表示されて…。 一番驚いたのは、急に冷え込んだ冬のある日、夜中に電話があって「センサがすべてエラーになって停止しました」と聞いた時。気温が、氷点下20度を超えたことが原因でした。実証実験が始まってからも微調整は欠かせませんし、ずっと現在進行形ですね。
望月
LPWA規格の「LoRa WAN™」は電力消費量が少ないのが強みですが、それは通信時だけ通電するから。通電しないと基盤が低温になる特殊なセンサだからこそ、あり得ないことが起きた。実証実験がスタートし、初めてメディア取材を受ける直前で、現地へ行って手で温めようか、と冗談も言いましたが、半分本気でしたよ。最終的には、ファームウェアのアップデートでうまく解決でき、一安心しました。
梅村
事前検証に基づく机上の計算と、実環境での電波の飛び方の違いにも苦心しました。製造・建設業の敷地内は高い建屋が多くあり、しかも廃棄物置き場はさらに奥まったところにあってシャッターも閉じているから、これらの遮蔽物により電波が悪化する。 当初の予定よりも基地局の数を増やしたり、送信プログラムの改良をおこなったり、さらにはデバイスの工夫をNISSHAさんにお願いしたり。ただ、実証試験のためだけでなく本当に商用で使えるものにしようと、一緒に改善を重ねてより良いものづくりを進めたことは、とてもいい経験になりましたね。

低温対策に、アンテナやセンサの改善。苦心を重ねた取り組みの数は、そのまま実証実験では確かな成果となる。同時に、つかんだ手応えも大きい。

望月
収集カートには長年、分別しないままの廃棄物が放り込まれていて、効率化がしにくい一因でした。収集事業者さんには、「お客さま」である排出事業者への遠慮があったんですよ。、ただ、そのままでは合積みで一括回収ができません。「分別してください」と私たちも一緒に排出事業者さんにお願いしたら、あっさりと「わかりました」と。 何十年も変わらなかったことが、一瞬で変わったんです。収集事業者さんも、本当に効率化につながることは、むしろ提案する方がお客さまのためになる、という考えが芽生えています。
中峯
排出事業者さんの意識も、明らかに変わりましたね。協力いただいた5社うち、焼却していた廃プラをRPF(廃棄物リサイクル固形燃料)向けに活かそうと、処理契約を見直す動きが始まっています。 排出と収集、双方の立場に気づきが生まれ、意識が変わったということ。ビフォア・アフターで、実証実験による定量的な数値の変化がわかるのはこれからですが、今後はごみの種別もセンサでわかるようになっていけば、もっと大規模な、いい変化につながっていく。私たちも、どんどん働きかけていきたいですね。
青野
センサの守備範囲を広げて、木質チップや古紙、廃プラなどRPFに適した材質や成分を選り分けることも、京都府さんへの中間報告でも「次」を見据えた話として出ましたよね。今回の実証実験の範囲を超えますが、そこから先に大きな発展性があります。収集だけに特化してごみごみ集積所の規格化もできれば、一般廃棄物のフィールドにも広げていけますよ。

OUR DREAM
アワドリーム

静脈産業に風穴を開け、
培った知見で新たなユースシーンを。

2017年12月に本格稼働した実証実験は、テレビ、新聞などのメディアから相次いで取材を受け、大きな反響の声がプロジェクトメンバーに届き始める。国や全国の自治体、産業廃棄物事業者などから、実証実験の成果を踏まえて、さらに「その先」につながる新たな取り組みへの期待の声が高まっている。

中峯
実証実験は排出事業者の規模が大きく、廃棄物も多量で1社だけで4トン収集車が満載になることも多かった。合積みで一括回収するデータの蓄積が、これからのテーマの一つですね。
青野
大量の廃棄物は定期収集すればいい。IoTによる効率化は、少量だけど溜まったら回収が必要になる不定期収集にこそ成果を発揮します。産業廃棄物のマーケットは不定期収集が9割を占めますし、ビジネスとしても可能性が大きいんですよ。 廃棄物処理を合理化するトータルシステムとして最も先行するプロジェクトの成果を知って、国も補助金を出して新たな自治体や民間事業者での事例をつくりたいと動き出しています。協議会の理事を務める大学教授も「論文のテーマとして、学会に発表したい」と言っていただけるほどです。
望月
実際に「やった」という実績と、結果に基づく知見が大きなアドバンテージですね。NTT西日本も2月に協議会に加入しましたし、これから私たちがさらに仕掛けていくのは、プロジェクトの成果をもとに、こんな運用をしたらこう変わる、という提言をすること。「IoTで年間数十億円ものコストを効率化できますよ」と、京都府以外の自治体や国の省庁、大学なども巻き込んでいければ、と。 提言して初めて、新たなジネスモデルが立つんです。ただそれは、NTT西日本だけではできないこと。アイデアは盛りだくさんでも、業界や現場の常識を知る頼もしい専門家がいるからこそ、変なアイデアでもいい部分を残しながら、どんどん極めていける。一つの業界でパイを奪い合うのではなく、みんなが少しずつそれぞれの領域を超えてつながった「ここ」という新しい世界が、事業になっていくんですよ。
梅村
LPWAはいま、福岡市様とも市内全域にネットワークを展開する実証実験を行っています。実証実験参加者として様々な業種、業態の方々を集い、産官学が共になって先進技術のIoTを用いて「新しいビジネスを生み出していこう」という産業振興イメージですね。一方で、今回の京都府さんの実証実験は、具体的なユースケースとして「こうしたい」というところが入り口。End to Endでデバイスからプラットフォームまでをつなぎ、さらに得られたビックデータをAI等を活用し解析して効率化に役立てるプラットフォームは、まだ全国的に例がないのではと考えます。京都から「IoTはこんなプラットフォームを、こう使えるんですよ」とユースケースを広げるステージへと、さらに歩みを進めていきますよ。

IoTを使った新しいプラットフォームと運用を、先駆者として提言する。その夢とチャンスは、京都から全国へ、産業廃棄物の収集効率化から環境サービスモデルの創出へと、つながっていこうとしている。

青野
産業廃棄物の世界は静脈産業と言われますが、動脈産業と比べて流通システムはまだバラバラ。IoTのLPWAやセンサの技術で合理的な姿に変えるビジネスチャンスが広がっています。第一人者のNTT西日本さんがそのフィールドに乗り出すことで、風穴が開いたと思っていますし、これからいろんなアイデアが具体化していくのが楽しみです。
中峯
京都発で、しかも全国初となった取り組みは、地域を思う京都愛と新しいことへのチャレンジ精神が旺盛な京都だからこそ、ピタッとはまった感じです。これからも京都に根差して問題意識を共有しながら、全国の皆さんにも良き先例を発信し、つながりも深めていけたら嬉しいですね。
梅村
産業廃棄物とネットワークが結びつくって、最初は誰も思わない。だけど、一つロールモデルが出来上がると、「そういうことができるんだ!」と気づく。同じように、まだ埋もれているけどLPWAのネットワークが役立つ領域って、たくさんあるだろうな、と。視野を広く持って、いまはまだ誰も思いつかないところへもぜひ、展開していきたいですね。
望月
産業廃棄物だけで終わらずに、社会課題と捉えて環境サービスの世界まで広げていける、という想いがあります。NTT西日本ってある意味、余裕のある会社ですよね。2年前にこのプロジェクトを始めた時も、周囲には何をやっているか、よくわからない事業だったはず。でも、社内にも社外にも、応援し協力してくれる人がいて、そのつながりを深めながら長い目で挑戦し続けることができた。そんなことができる会社だからこそ、いままでにない新しい市場を描き出せるし、ビジネス化につながっていくのは「後の話」。しっかりと世の中の役に立てば、自ずと結果として利益を生むことができると信じています。

通信ネットワークなら、誰にも負けない。その誇りのちょっと先にも想いを馳せて「+α」を描き出し、ビジネスとして実現する。NTT西日本はこれからも、様々なアライアンスやパートナーとの共創によって、新しい世界を切り拓いていく。

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